強迫性障害になった看護師
まず触れておきます。
私は強迫性障害になったことがあります。
期間としては大体2年間ほど。
結構長いです。
現在は寛解しています。
そしてもう一つ。
私は精神科の看護師として、強迫性障害の患者さんを受け持ったことがあります。
というわけで、強迫性障害を看護したこともあるし、自分がなったこともある、という立場から、
「実際に自分が行った、強迫性障害の対策方法」を解説していきます。
実体験に基づいた、実践的な対策方法となっています。
強迫性障害でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
確認不安につきまとわれる「強迫性障害」
強迫性障害とは、
「自分の意思に反して繰り返し浮かんでくる不安な考え(強迫観念)」や、
「その不安を打ち消すために何度も繰り返してしまう行動(強迫行為)」
が特徴の精神疾患です。
わかりやすく言えば、「家の鍵ちゃんと閉めたかな」という誰しもが抱いたことのある不安に、一日中駆られる病気です。
不安になって戸締りを確認しに戻って、また家を出た後に不安になって、戸締りを確認しに戻って……
これを延々繰り返します。
「確認行為」の厄介さ
そして、この「確認行為」というのがくせもの。
強迫性障害になると、確認方法が歪になっていきます。
「玄関の鍵がかかってるのを確認できた! でも、より確実に確認するために、一回鍵を開けてから、もう一回鍵をかけよう」という思考回路になったりします。
物凄く歪。
しかも、この確認行為がルーティン化していくというのも特徴です。
今回の例で言えば、「鍵を確実に閉めるために、一回鍵を開けてから、もう一回閉める」という確認方法がルーティン化するのです。
確認のルーティンが崩れると「一から確認し直し」
そして、このルーティンが崩れた場合、「最初から確認し直す」という手段に出るのです。
例えば、確認のため鍵を一度開けて、もう一度閉めようとしたその時、近所の人に声をかけられたとします。
はい、「最初から確認行為のやり直し」です。
もう一回鍵を開けるところから確認し直しになるんです。
なぜかって?
近所の人に声をかけられる、という予想外の出来事が起きたために、一連のルーティンが乱れたからです。これにより、確認行為の信用性が自分の中で失われる。
ルーティンは完璧にやり通して初めて「確認成功」なのです。
ルーティンが少しでも乱れると、一からやり直し。
せっかく鍵を閉めかけていたけど、やり直しだから仕方ない。
もう一回鍵を開けて、そしてさらにもう一回鍵を閉める。
この工程が完璧にこなせるその時まで、繰り返すのです。
鍵を閉めるのに少しでも手間取ったり、少しボーッとしてしまうとそれだけでアウト。
「ルーティンが乱れた」と自分の中で判断し、確認行為を一からやり直すことになります。
もはや、確認行為は手段ではなくそれ自体が目的なのです。
色々な確認行為
家の戸締りというのはあくまで一例で、不安の種は日常の色々なところにあります。
「自分が気づいてないうちに万引きをしたんじゃないか」
「キャッシュカードを落としたんじゃないか」
「ネット上に危ない投稿をしていないか」
などなど……
こんな不安、日常生活で頻繁に抱くことありますか?
普通の人は中々思うことすらないでしょう。
仮に不安になったとしても、一回確認すれば終わりです。
しかし強迫性障害は違う。
「確認しても、まだ確認し足りない」。
強迫性障害の患者はわかっている
さて、ふと疑問に思う人もいると思います。
「なぜそんなに不安になるの?」
「確認行為がルーティン化するって、本人はおかしいと思わないの?」
元強迫性障害患者としてお答えしましょう。
変なルーティンだと、めちゃめちゃ思っています。
合理性のカケラもない。
何回確認したところで結果は変わらない。
確認行為自体が目的化していくという歪さ。
その「おかしさ」を、本人もわかっているんです。
わかっているけど、不安の方が強い。
そして、その不安を紛らわせるために、確認行為に手を染める。
これが、私の場合の強迫性障害の流れです。
日常生活のロス
強迫性障害の厄介なところは、症状が深刻化すると日常生活に割く時間が失われてしまうところです。
当然ですよね、何度も確認行為をしているわけですから。
これこそが強迫性障害の最も厄介なところかもしれません。
強迫性障害の対策方法
というわけでお待たせしました。
私は現在強迫性障害を寛解しています。
では、そのために私が行った方法の中で、効果が期待できそうなものを挙げていきます。
①確認行為に他人を巻き込まない
これは強迫性障害あるあるだと思うのですが、確認行為がエスカレートすると、他の人を巻き込むようになります。
「これ、大丈夫かな?」
「一緒に確認してもらっていい?」
私もよく親しい人に言いました。
しかし、これが落とし穴です。
強迫性障害の確認行為は、周りの人を巻き込むほどエスカレートする恐れがある。
したがって、強迫性障害でお困りの人、そしてその周囲の人は、「確認行為に取り合わない」。
これが改善に効果が期待できると私は思います。
②忙しくする
はっきり言ってしまえば、強迫性障害は「ある程度暇だから」症状が起こる。時間的ㅤㅤ空白があるから、確認できてしまうのです。
人は暇な時に哲学をする。
時間があれば、人は思考をする余裕ができてしまう。
これは強迫性障害に関係なく、人の性質だと思います。
ならば対策は簡単。
忙しくすればいい。
働けば良い。予定を入れればいい。緊張感のあるイベントに参加すれば良い。
大事な仕事の真っ最中に、確認行為に手を染める余裕は生まれません。
不安がよぎったとしても、すぐに目の前の忙しさで紛れる。
そして、そんな生活を継続しているうちに気づけば「あれ? 最近確認行為の回数が減ったな」となり、
「なんだ、確認しなくても大丈夫じゃん」と強迫性障害自体が寛解に近づいていくのです。
③筋トレをする
やってください。
効果が期待できます。
しかし、これを言うと貴方は絶対に「強迫性障害の対策に筋トレ? そんなの意味ないよ」と言うでしょう。
いったいなぜか。
色々な理屈を貴方は添えると思いますが、本当の理由は「しんどい。面倒。単純にやりたくない」だと私は思います。
でも、もし貴方が強迫性障害を本気で対策したいなら、私はおすすめしたいです。
筋トレによって分泌されたホルモンが気分を上向かせたり、ストレスを軽減すると言った効果が期待できます。
また、「筋トレ」という行為自体に時間を使うようになり、相対的に確認行為に割く時間が短くなる、という効果も期待できます。
筋トレ、めんどいですよね。やりたくないですよね。
わかります。
でもおすすめです。
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