がんと統合医療

統合医療

がんと統合医療

概要

「がんと統合医療」は、手術・化学療法・放射線療法などの標準がん治療を基盤としつつ、心身・生活・環境・価値観までを含めて支える補完的アプローチを指します。
目的は「がんそのものを代替的に治すこと」ではなく、治療の継続を支え、生活の質(QOL)を高め、心身の回復力を整えることです。
身体・心理・社会・スピリチュアルの四側面(Bio-Psycho-Social-Spiritual)を統合的に捉える点に特徴があります。

背景と位置づけ

近年、がん医療は生存率の向上とともに、「いかに生きるか(QOL)」が重視されるようになりました。
副作用対策、再発不安、社会復帰、家族ケア、終末期の意思決定など、多層的な課題に対応するため、統合医療の視点が活用されるようになっています。
WHOや各国のがんセンターでも、支持療法(サポーティブケア)や緩和ケアの一環として補完的アプローチが位置づけられています。

基本原則(コアコンセプト)

1)標準治療が中心

統合医療は代替ではなく補完です。
診断、手術、抗がん剤、放射線などは主治医の管理のもとで継続されます。

2)QOL(生活の質)の最優先
• 痛み、不安、倦怠感、吐き気、不眠などの軽減
• 仕事・家庭・人間関係の維持
• 自尊感情や希望の回復

3)全人的アプローチ

身体だけでなく、心、社会関係、価値観、スピリチュアリティを含めて支援します。

4)主体性の回復

「治療される人」ではなく、自分の治療と人生に関わる主体として関与できるよう支えることを重視します。

主な統合的アプローチ

① 心理・精神的ケア
• サイモントン療法(イメージ、ストレス対処、自己効力感)
• カウンセリング、マインドフルネス、瞑想
• グループ療法、ピアサポート

② 緩和ケア
• 痛みや苦痛の緩和
• 不安・抑うつへの対応
• 家族支援、終末期ケアとの連携

③ 食事・栄養
• 治療中の栄養維持(体重減少の予防)
• 消化にやさしい食事設計
• 炎症や腸内環境を意識した食事(食事療法・薬膳・メディカルハーブの補助)

④ 身体ケア
• 軽度〜中等度の運動(ウォーキング、ヨーガなど)
• 鍼灸、オステオパシー、温熱療法などによる症状緩和
• リンパ浮腫ケア(専門家のもと)

⑤ 生活・環境調整
• 睡眠リズムの改善
• ストレス要因の整理
• 仕事復帰や社会的支援の調整

⑥ スピリチュアルケア
• 生きる意味、価値観、死生観の整理
• 宗教的支援(希望者のみ)
• 死生学的視点の導入

適用される場面(一般的な例)

• 診断直後の不安・混乱
• 化学療法中の副作用対処
• 放射線治療中の疲労・皮膚ケア
• 再発不安
• 治療後の体力回復・社会復帰
• 緩和ケア・終末期ケア
• 家族の心理的負担の軽減

強み

• 治療継続率の向上に寄与する可能性
• QOLを多面的に高められる
• 患者の主体性を支える
• 医療チームとの協働を促進
• 心身のバランスを整えやすい

限界・注意点

• がんそのものを治す代替治療ではない
• 「自然療法だけで治す」といった主張は危険
• サプリメントやハーブの相互作用に注意(抗がん剤との併用など)
• 極端な食事制限は栄養失調を招く可能性
• エビデンスの質は手法ごとにばらつきがある

標準医療との関係

統合医療は、主治医を中心としたチーム医療の中で補完的に行うことが前提です。
副作用、薬物相互作用、体調変化は必ず医療チームと共有します。

関連分野

• サイモントン療法
• 緩和ケア
• 死生学
• 食事療法(概論・各論)
• メディカルハーブ
• 鍼灸
• 温熱療法
• 統合医療と精神医学
• ホリスティック医学

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