中医学
概要
中医学は、中国で数千年にわたり発展してきた伝統医学の体系です。
身体を「気・血・津液」の循環と、「陰陽」「五行」のバランスという視点から捉え、病気を局所的な異常ではなく、全体の不調和として理解します。
治療には主に漢方薬、鍼灸、推拿(すいな:手技療法)、食養生などが用いられます。
背景と成り立ち
中医学は『黄帝内経』を基礎文献とし、戦国時代から漢代にかけて理論が体系化されました。
その後、臨床経験とともに理論が洗練され、現代中国では西洋医学と並ぶ公的医療体系として教育・研究・臨床が行われています。
基本理論(コアコンセプト)
1)陰陽
あらゆる現象は「陰」と「陽」の相互作用で成り立つと考えます。
健康とは、陰陽が相対的に均衡している状態を指します。
2)五行
木・火・土・金・水の五つの要素が相互に影響し合うというモデルで、臓腑や感情、季節、味覚などと対応づけて理解します。
3)気・血・津液
• 気:生命活動を支えるエネルギー
• 血:栄養を運ぶ物質
• 津液:体内の水分
これらの循環が滞りなく巡ることが健康とされます。
4)臓腑理論
心・肝・脾・肺・腎などの「臓」と、胆・胃・大腸・小腸などの「腑」が相互に関連し、身体全体を調整すると考えます。
診断方法
四診
• 望診:見た目(舌、顔色、姿勢など)
• 聞診:声や呼吸音
• 問診:症状、生活習慣、感情状態
• 切診:脈診や触診
これらを総合して「証(しょう)」と呼ばれる状態像を決定します。
主な治療法
漢方薬
体質や「証」に合わせて複数の生薬を組み合わせた処方を用います。
鍼灸
経絡(気の通り道)上の特定のツボに鍼や灸を用い、気血の流れを調整します。
推拿(すいな)
手技によって筋肉や関節、経絡を整える療法です。
食養生(薬膳)
体質や季節に合わせた食材選びと調理法で、体調を整えます。
適用される場面(一般的な例)
• 慢性疲労、冷え性
• 消化器症状(胃もたれ、便秘、下痢)
• 月経トラブル
• 肩こり・腰痛
• ストレス関連症状
• 体質改善・未病ケア
強み
• 個々の体質に合わせたきめ細かな対応が可能
• 症状だけでなく、根本的な不調和にアプローチ
• 予防(未病)を重視する視点がある
限界・注意点
• 急性の感染症や外傷では西洋医学が優先される
• 漢方薬は体質や併用薬との相性を考慮する必要がある
• 鍼灸は施術者の技術差が影響する場合がある
標準医療との関係
中医学は補完的に用いられることが多く、診断や緊急治療は西洋医学が優先されます。
一方で、慢性症状や生活習慣改善、疼痛管理などでは併用されることがあります。
関連分野
• 東洋医学 概論
• 漢方医学 概論・薬膳
• 鍼灸
• アーユルヴェーダ(比較医学として)



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