皮膚に深い傷(穴)
私が実際に陥ったケース
2025年の1月ごろ、高熱を出して寝込む。
その際に、腰(お尻の上の方)の辺りに、膿がたまるようになる。
それ以降、腫れたり、滲出液が出てきたり、痛みが出たり引いたり、自然と潰れたり、潰したりといったことを繰り返しているうちに、その部分に2cm〜程の穴が出来る。
その状態で3ヶ月経過、4月半ばにやっと受診をする。
皮膚科では、薬と詰め物で処置を受け、抗生物質(ミノマイシン)を処方されました。
過剰に肉芽が出来て、ふさがりにくくなっている状態らしい。
そして、翌日も受診するよう指示を受けました。
受診が大事
自然療法含め在宅での対応を試みていましたが、効き目は無し。
似たようなケースに該当する方は、ある程度のところで見切りをつけて受診することが重要です。
このまま健康上大きな問題にならなくても、瘢痕として見た目に影響を与える可能性があります。そのため、民間療法を頼るにしても、平行して受診をするのが安全です。
ミノマイシンの効果・作用機序
ミノマイシンは、細菌がタンパク質を作るのを邪魔することで、増えるのを防ぐ働きが期待できる抗生物質です(※1、2)。
もっと具体的に言うと、細菌の中にある「リボソーム(タンパク質を作る工場)」の一部にくっついて、材料(アミノ酸)を組み立てる作業をストップさせます。
人間や動物のリボソームには効かないので、細菌だけを選んで攻撃する仕組みになっています。
ミノマイシンの適応菌種及び適応症
ミノマイシンが適応とされている菌は以下の通りです(※1、3、4、5、6、7、8)。
ミノサイクリンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、腸球菌属、淋菌、炭疽菌、大腸菌、赤痢菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、緑膿菌、梅毒トレポネーマ、リケッチア属(オリエンチア・ツツガムシ)、クラミジア属、肺炎マイコプラズマ(マイコプラズマ・ニューモニエ)
また、ミノマイシンが適応とされている症状は以下の通りです(※1)。
表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽頭・喉頭炎、扁桃炎(扁桃周囲炎を含む)、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(急性症、慢性症)、精巣上体炎(副睾丸炎)、尿道炎、淋菌感染症、梅毒、腹膜炎、感染性腸炎、外陰炎、細菌性腟炎、子宮内感染、涙嚢炎、麦粒腫、外耳炎、中耳炎、副鼻腔炎、化膿性唾液腺炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、上顎洞炎、顎炎、炭疽、つつが虫病、オウム病
ミノマイシンの禁忌
ミノマイシンは、テトラサイクリン系薬剤に対し過敏症の既往歴がある人は服用できません(※1)。
ミノマイシンを服用する際の注意点
ミノマイシンを服用する場合、以下の点に注意が必要です(※1)。
- 使いすぎに注意
耐性菌(薬が効かなくなる菌)を防ぐために、必要な期間だけ使うことが重要です。また、使う前に、その菌に薬が効くか(感受性)を確認するのが基本となります。
- めまいに注意
飲んでいる間にめまいを感じることがあるので、車の運転や高い場所での作業など、危険な作業は避ける必要があります。
- 肝臓への影響
自己免疫性肝炎が出ることがあるので、定期的な血液検査などでチェックが必要です。
- 血液の異常に注意
白血球や赤血球、血小板などに異常が出ることがあるため、定期的な血液検査を行うことが重要となります。
- 腎臓の障害に注意
急性腎障害や腎炎が出ることがあるため、こちらも検査をしながら使う必要があります。
ミノマイシンの副作用
ミノマイシン服用時、特に以下の症状が現れる場合があります(※1)。
- ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)
不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗、全身潮紅、呼吸困難、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、意識障害等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが求められます。
- ループス様症候群(頻度不明)
特に6ヵ月以上使用している長期投与例で多く報告されています。
- 結節性多発動脈炎、顕微鏡的多発血管炎(いずれも頻度不明)
発熱、倦怠感、体重減少、関節痛、筋肉痛、網状皮斑、しびれ等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが重要です。特に6ヵ月以上使用している長期投与例で結節性多発動脈炎が多く報告されています。
- 自己免疫性肝炎(頻度不明)
長期投与例で、抗核抗体が陽性となる自己免疫性肝炎があらわれることがあります。
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑、剥脱性皮膚炎(いずれも頻度不明)
発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うことが重要です。
- 薬剤性過敏症症候群(頻度不明)
初期症状として発疹、発熱がみられ、さらにリンパ節腫脹、肝機能障害等の臓器障害、白血球増加、好酸球増多、異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあります。観察を十分に行い、このような症状があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うことが求められます。
なお、ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)等のウイルスの再活性化を伴うことが多く、投与中止後も発疹、発熱、肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるため、注意が必要です。
- 血液障害(頻度不明)
汎血球減少、無顆粒球症、顆粒球減少、白血球減少、血小板減少、貧血があらわれることがあり、また、注射用製剤で溶血性貧血があらわれることがあります。
- 重篤な肝機能障害(頻度不明)
肝不全等の重篤な肝機能障害があらわれることがあるので、特に投与初期は観察を十分に行うことが重要です(投与開始1週間以内に出現することがある)。
- 急性腎障害、間質性腎炎(いずれも頻度不明)
- 呼吸困難、間質性肺炎、PIE症候群(いずれも頻度不明)
発熱、咳嗽、労作時息切れ、呼吸困難等の異常が認められた場合には速やかに胸部X線検査等を実施し、間質性肺炎、PIE症候群が疑われる場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うことが重要です。
- 膵炎(頻度不明)
- 精神神経障害(頻度不明)
痙攣、意識障害等の精神神経障害があらわれることがあります。
- 出血性腸炎、偽膜性大腸炎(いずれも頻度不明)
出血性腸炎、偽膜性大腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあります。
まとめ
皮膚にできた深い傷や穴は、自己判断で放置したり、適切な対応をしないことで、長期化したり瘢痕として残るリスクがあります。
特に感染や膿の関与がある場合、専門的な処置と適切な抗生物質の使用が必要です。
参考文献
(※2)Weisblum B,et al., Bact Rev., 32, 493-528, (1968)
(※3)小林 稔ほか, Jpn J Antibiot., 25 (5), 283-287, (1972)
(※4)猿渡 勝彦ほか, Jpn J Antibiot., 33 (1), 87-96, (1980)
(※5)島田 馨ほか, Chemotherapy., 31 (8), 835-841, (1983)
(※6)中沢 昭三ほか, Jpn J Antibiot., 22 (6), 411-416, (1969)
(※7)Ridgway GL,et al., Br J Vener Dis., 54, 103-106, (1978)
(※8)Bowie WR,et al., J Infect Dis., 138 (5), 655-659, (1978)
コメント