マクロビオティック
概要
マクロビオティックは、「陰陽」のバランスを基盤にした食事と生活の思想・実践体系です。
穀物を中心とした自然食を基本とし、季節・地域・体質に合わせた食べ方を通じて、心身の調和と健康を目指します。
単なる食事法というより、生き方・自然観・健康観を含む総合的なライフスタイルとして位置づけられます。
背景と成り立ち
マクロビオティックは、19世紀のドイツの医師クリストフ・ヴィルヘルム・フーフェラントの思想を源流とし、日本の桜沢如一(さくらざわ ゆきかず)が20世紀に再構築しました。
桜沢は東洋思想(陰陽五行)と食養生を結びつけ、欧米にも紹介し、健康運動として世界的に広まりました。
その後、大森英櫻(ひでお)や久司道夫らによって発展し、現代の自然食運動にも影響を与えています。
基本理論(コアコンセプト)
1)陰陽のバランス
あらゆる食べ物や環境は「陰」と「陽」の性質を持つと考え、極端に偏らない中庸(バランス)を目指します。
• 陰:冷たい、拡散的、水分が多い、甘い、軽い
• 陽:温かい、収縮的、乾燥、塩味、重い
健康とは、この陰陽が調和している状態とされます。
2)身土不二(しんどふじ)
「身体と土地は一体である」という考え方で、自分が住む地域・季節の食材を中心に食べることを重視します。
3)一物全体(いちぶつぜんたい)
食材はできるだけ丸ごと(皮・根・葉など)いただくことで、栄養とエネルギーのバランスが保たれると考えます。
4)穀物中心主義
主食として全粒穀物(玄米など)を重視し、副菜として野菜、海藻、豆類を組み合わせます。
基本的な食事構成(目安)
• 主食(約50–60%):玄米、雑穀
• 副菜(約25–30%):旬の野菜(煮物、和え物、漬物など)
• タンパク源(約10–15%):豆類、味噌、醤油、海藻
• 調味:自然塩、醤油、味噌、ごま油など
• 飲み物:番茶、ほうじ茶、水
※比率は流派や目的によって変わります。
調理の特徴
• 季節性:旬の食材を優先
• 調理法の工夫:蒸す・煮る・炒める・漬けるを組み合わせる
• 味のバランス:甘・酸・苦・辛・鹹(塩)の五味を意識
• 加工食品の制限:精製糖、添加物の多い食品を避ける傾向
適用される場面(一般的な例)
• 体質改善・生活習慣の見直し
• 消化器の調整
• 冷えや疲労の軽減
• 食への意識改革(食育)
• 予防的な健康管理
強み
• 食と生活を一体で整える視点を持つ
• 地域・季節に根ざした食文化を尊重する
• 食べ方そのものがセルフケアになる
• 環境負荷の少ない食選択につながりやすい
限界・注意点
• 極端な実践は栄養偏り(鉄、ビタミンB12、カルシウムなど)を招く可能性
• 成長期、妊娠・授乳期、高齢期は慎重な設計が必要
• 病気の治療の代替にはならない
• 流派により考え方や厳格さに差がある
標準医療との関係
マクロビオティックは補完的な食事・生活アプローチであり、診断や治療の代替ではありません。
持病がある場合や体重減少が著しい場合は、医師や管理栄養士と相談しながら実践することが推奨されます。
関連分野
• 食事療法(概論・各論)
• 中医学(陰陽五行の共通点)
• アーユルヴェーダ(体質に基づく食養生)
• 自然療法
• メディカルハーブ(食と薬の連続性)



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