八百万ベリーがおれの首にかかってる
第一級のおたずね者ってわけだ
56人殺したのさ
てめェのように生意気な奴をな”
“56皇殺し”のヒグマ
てめェ(シャンクス)のように生意気な奴を56人殺したという驚異的な経歴を持つ山賊ヒグマ。
今回は彼の強さを、彼のセリフと共に確認していこうと思う。
「ほほう…これが海賊って輩かい…初めて見たぜ間抜けた顔してやがる」
山賊ヒグマ初登場時、酒場のドアを蹴破ったあと赤髪海賊団を見ながら放ったセリフである。
しかしヒグマにとって、本当にシャンクスたちが初めて見た海賊なのだろうか?
普段は山にいる山賊と言えど、海賊の一人や二人、裏の世界の繋がりで出会っていてもおかしくはない。
実際、こうして酒場に下りてきてシャンクス達と遭遇している。
ではなぜ山賊ヒグマがシャンクス達を見た時、「初めて見た海賊だ」というセリフを放ったのだろうか?
考えられる可能性は3つだ。
まず一つ目が、“海賊達がヒグマに恐れをなし、彼の視界に入ろうとしなかった”説だ。
それならばヒグマが海賊を見たことがなかったのも仕方ない。視界に入らないものは認識しようがないのだ。
ヒグマ、不戦勝…!
二つ目が、“覇王色の覇気で海賊達が気絶し近寄れなかったため”という説だ。
ヒグマの内なる覇王色の覇気にあてられ、海賊達は気絶し結果近づくことができなかった。
ヒグマが覇王色を持っているかは定かではないが、
“56皇殺し”という実績を誇るヒグマが王の力を持っていない…と考える方が不自然だろう。
そして三つ目が、“シャンクス達を真の海賊として認めた”という説だ。
つまりヒグマにとって、これまで出会ってきた海賊達は、とても海賊とは呼べねえ半端者ばかりだった…ということである。
しかしシャンクスにはその潜在能力を感じ、彼を海賊として認めたのだ。
真の山賊と海賊、この二つが邂逅した瞬間である。
「おれ達は山賊だ───────が…別に店を荒らしにきた訳じゃねェ」
優しい。
自分の職業を名乗りつつ、自分の目的を明確に伝えている。
これが企業面接であれば即採用ものだろう。
山賊ではあるが、店を荒らしにきたわけではない、というヒグマ。
公私を混同せず無闇な破壊はしない男の中の男、これこそが真のダンディズムと言える。
さっき勢いよくドアを蹴破っていた気もするがきっと気のせいだろう。
「おい貴様…このおれを誰だと思ってる これを見ろ 八百万ベリーがおれの首にかかってる 第一級のおたずね者ってわけだ 56人殺したのさ てめェのように生意気な奴をな」
もはや説明不要。
“56皇殺しのヒグマ、ここにあり”と言ったところだろう。
800万ベリーは懸賞金としては安いが、これは軍の賢明な判断である。
下手に懸賞金を上げてしまうと、ヒグマの首を狙った賞金首ハンターが増加する。結果、ヒグマの被害者が増える結果になってしまうのだ。
軍はそれを危惧し、しかし懸賞金をかけておかなければ一般人にヒグマの危険性が伝わらない手前、折衷案としてこの懸賞額にしたに違いない。
“シャンクス”並の海賊を56人も葬ったヒグマ。
「この俺様に逆らったらてめェの髪以外も赤くなるぜ」と言わんばかりである。
「掃除が好きらしいな…これくらいの方がやりがいがあるだろう」
優しい。
シャンクスが掃除好きだということを知って、もっと掃除をさせてあげようというヒグマの粋な計らいである。
彼は強さだけでなく、優しさも兼ね備えている真の“男”なのだ。
「何ぼーっとしてやがる 俺たちは客だぜ!酒だ!!」
入店したにも関わらず、接客を行わないマキノに対するヒグマの檄。
しかしこれは、“マキノは実は新人バイトで、マニュアル通りの行動ができていないだけなのでは”というヒグマの洞察によるものである。
私たち読者はマキノがこの酒場の店主ということを知っているが、
ヒグマからすると“2回来店していずれも店にいる女”というだけであり、シフトが固まって入っている新人バイトの可能性も捨てきれない。
もしかすると今日が2回目のバイトという可能性のあるマキノの心境を考慮してか、
「ご注文は」と聞かれる前にまあまあの距離で「酒だ!!」と注文を行っている。
彼も飲食のバイト経験があり、新人が働くことの厳しさを知っているのかもしれない。
あるいは、マキノがワンオペで回していることに対する配慮という可能性もある。
「(急に大人数来られても困るよね、せめて注文の手間くらい減らしてあげよう)酒だ!!」
ということなのだろう。
「殴っても蹴っても効いてないらしい ゴム人間とは…なんておかしな生き物がいるんだろうなァ…!!」
悪魔の実によって変異しているルフィの身体に、面白がりはしても脅威を感じている様子はない。
それも当然、彼はシャンクスのような人間を56人殺めてきた実力者なのだ。
悪魔の実の能力者くらい飽きるほど見てきただろう。
そもそも自分の攻撃が効いていないのにこの余裕。例え相手が子供だとしても、自分の攻撃が効いていないとなると少しは焦りそうなものである。
だがヒグマは想定外の事態にも余裕の姿勢を崩さない。
彼の強靭な精神力がうかがえる。
「海賊ゥ…まだ居たのかこの村に ずっと村の拭き掃除でもしてたのか?」
再会と共にこの小粋なジョーク、さすがヒグマである。
シャンクスにはなぜかこのジョークが刺さらなかったようだが、お腹でも痛かったのだろうか。
もしかすると本当にずっと村の拭き掃除をしていて、図星を突かれたので照れ隠しにスルーした可能性もある。
シャンクスが照れる気持ちはわからないでもないが、そこは大人の対応を見せて欲しかったところである。
「ちっ(煙幕)」
常日頃から煙幕を携帯しているのがヒグマの賢い点。
自分の強さを過信せず、“こんなこともあるかも知れない”と準備していたのだろう。
実際赤髪海賊団はヒグマ達の居場所を見失っており、ヒグマの策は効果てきめんと言ったところだ。
「まさか山賊が海へ逃げたとは思うまい!!」
ヒグマの明晰な頭脳が導き出した高度な作戦である。
「いざとなった時、山賊が逃げる場所といえば」と聞かれて海と答える人間はそうはいないだろう。
ちなみにこのシーンのヒグマは荷物や食糧が0の小舟で出港しており、辺りに島らしきものもない。
この状態で海に出るのは中々勇気が要るが、その後どうする予定だったのかは気になるところである。
半日程度海で時間を潰しながら、隙を見計らって陸へ戻るつもりだったのだろうか。
あるいは、付近の島へ旅に出ようとしていたのだろうか。
いずれにせよ、山賊が海へと乗り出した歴史的瞬間である。
ヒグマの最期
“56皇殺し”という戦績をおさめ、未来の四皇であるルフィを一方的に攻めたて、あのシャンクスに対してすら煙幕で撹乱した。
しかしそんなヒグマにも無情の瞬間が訪れる。
ルフィを海へ突き落とした直後、背後から“近海の主”が現れヒグマを丸呑みにしたのである。
ただし、これはヒグマが実力不足だったのではなく、vsルフィ、vsマキノ、vsシャンクスという連戦に次ぐ連戦でヒグマが疲弊したからだろう。
なお“近海の主”はシャンクスの腕を噛みちぎるほどの攻撃力を持っているが、
そんか近海の主がわざわざ消化に悪そうな丸呑みという攻撃手段を選んだのは、
「ヒグマ相手に傷を付けられる気がしなかったから」ということなのかもしれない。
つまり噛みつき攻撃でダメージを受けたシャンクスよりも、丸呑みで対応せざるを得なかったヒグマの方が耐久面では上ということがわかる。
最後に
ということでヒグマの底知れない実力を見ていった。
世間では「56皇殺しwww」「800万ベリーwww」などといじられ倒しているが、
この記事を通してヒグマの真の実力が少しでも伝われば幸いである。
それではまた。
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