ダムの放流とは
ダム貯水池内に貯留された流水などを下流に流す操作のことを指します。
ダムの機能に応じて、下記の目的のもと放流が行われることになります。
今回は洪水発生時のダムの放流を見ていきましょう。
洪水調節
下流での洪水発生を防ぐ目的で行われる放流です。
通常ダムにおいては、ダム地点における河川の流入量と同量のあるいは灌漑(読み:かんがい。農地などへの人工的な水の供給のこと)や、河川環境を維持することなどを目的として、流入量以上の放流を行います。
しかし豪雨などにより河川の流入量が著しく増加した場合には、
流入量と同量以上の放流を行った場合、下流部での洪水リスクが増すことになってしまいます。
したがって大雨時などの異常出水による流入をダムでせき止めつつ、流入した量以下に調節された放流を行うことで、
下流部における洪水被害を最小限に抑えます。
事前放流
事前放流とは、洪水調節を行う前に洪水調節容量以外の利水容量の一部を放流し、
それにより生じた容量を洪水調節容量に転化させることです。
これにより洪水調節容量を増やすことができるため、結果洪水調節の効果を向上させることが可能となります。
しかしメリットもある一方で、
①本来利水目的である貯水容量を利水以外の目的で減らしてしまうために、
放流量に見合った流入が得られない場合は利水の効用を落としてしまう
②事前放流により洪水調節容量を十分に確保するためには一定の時間を要し、
更に通常よりも多い量の放流がなされるため一時的に下流域への治水効果が低下してしまう
などの影響も見られます。
なぜ大雨時にダムの水を放流するのか?
さて台風や大雨が降り続く中、ダム放流というニュースを聞き、
「なぜこの状況でダムの放流をするのか」「空っぽには出来なかったのか」と疑問を抱いた方もおられるでしょう。
そもそもこの記事の上部でも説明した通り、灌漑や発電などを目的とした多目的ダムの場合は水を蓄えておかなければなりません。
でなければ家庭や田んぼなどに必要な水を回すことができなくなってしまうためです。
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