SGLT2阻害薬

最終更新:2026年8月20日

SGLT2阻害薬は、腎臓の近位尿細管でSGLT2を阻害し、尿中へのブドウ糖排泄を増やす薬剤群である。2型糖尿病の血糖管理に加え、一部の薬剤は心不全や慢性腎臓病の転帰改善にも用いられる。[1]

概要

SGLT2阻害薬にはカナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン、エルツグリフロジンなどがある。腎臓でブドウ糖とナトリウムを再吸収するSGLT2を阻害し、尿糖を増やして血糖を低下させる。[1]

作用の仕組み

SGLT2阻害により近位尿細管でのブドウ糖再吸収が減り、尿中への糖排泄が増える。同時にナトリウム排泄や浸透圧利尿が起こり、体重血圧にも影響する。糸球体内圧を低下させる作用などを通じ、腎保護につながると考えられている。[1]

主な利用

2型糖尿病の血糖管理に使われるほか、ダパグリフロジンやエンパグリフロジンなどでは、糖尿病の有無にかかわらず心不全や慢性腎臓病で心血管・腎イベントを減らす適応がある。薬剤ごとに承認された対象や腎機能条件は異なる。[1]

モニタリング

開始前と治療中に腎機能、血圧、体液量、血糖、HbA1cなどを確認する。治療開始直後にeGFRが一時的に低下することがあるが、軽度の低下は想定される血行動態変化として扱われる。[1]

心不全・腎臓への効果

SGLT2阻害薬は血糖降下薬としてだけでなく、心不全による入院の減少、腎機能保護、心血管死亡の低下を目的として、糖尿病の有無を問わず一部の心不全や慢性腎臓病で用いられるようになっている。[1]

重要な有害事象

性器真菌感染、尿路感染、多尿、体液量減少などがみられ、まれに血糖値が著しく高くない状態でも糖尿病性ケトアシドーシスを起こすことがある。開始前後は脱水、腎機能、感染症状、ケトーシスを疑う症状に注意する。[1]

エビデンス・科学的評価

大規模無作為化試験では、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンなどが、対象患者で心不全入院や腎機能悪化、末期腎不全などのリスクを減らすことが示され、糖尿病治療を超えて心不全・慢性腎臓病の治療に組み込まれている。[1]

安全性・注意点

性器真菌感染、尿路感染、多尿、体液量減少、低血圧などが起こり得る。まれだが正常に近い血糖でも糖尿病性ケトアシドーシスが起こることがあり、手術・長時間絶食・重症疾患の前後では一時中止が検討される。フルニエ壊疽や下肢病変などにも注意が必要である。[1]

参考文献・参考情報

  1. NCBI Bookshelf: Sodium-Glucose Transport 2 (SGLT2) Inhibitors ↩本文

カテゴリ:基礎概念 / 糖代謝 / 薬理

タグ:SGLT2阻害薬 / 糖尿病 / 腎臓

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