みなさんこんにちはこんばんは。
今回はヤングケアラーについて。
聞きなれない単語ですね。ニュースなどで初めて知った、という方もおられるかもしれません。
ヤングケアラーとは
ヤングケアラーとは、障害や疾患等を抱える家族に向けて、家事や介護等を行っている、18歳未満の子どもを指します。
そのためヤングケアラー(若い介護者)、と言うわけですね。
ネット上では、「ヤングケアラー」の代表的なイメージとして
となりのトトロに登場するサツキが挙げられました。
病気の親に代わり家事や療養をこなす姿に、「現代ならヤングケアラーと呼ばれていたのか」と感じた方も多いようです。
さて子どもが「ヤングケアラー」になる背景、
つまり大人が担うようなケア責任・役割を子供が引き受ける要因としては、
家事や介護の役割を担う人手が不足していることが挙げられます。
実際に行われた調査研究でのデータを見ていきましょう。
家族構成・男女比
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2019年に実施した調査研究では、
ヤングケアラーの家族構成は「ひとり親と子供」が最多の48.6%となっています。
またヤングケアラーとして確認された子どもの性別は
男性:38.7%
女性:61.0%
となっています。
ヤングケアラーの実態に関する調査研究報告書【https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2019/04/koukai_190426_14.pdf 】より、太字部分を引用
家族構成の統計から、
ケアに参加できる家族構成員の少なさが「ヤングケアラー」の要因となっている状況があることが読み取れます。
家族構成員が少ないことで、家事や介護を担う役割が物理的に子どもに回ってくる、ということになります。
また、「ヤングケアラー」における男女比は各年代とも女性の割合が高く、
これもひとつの傾向・特徴と読み取ることができます。
なぜ男女比が偏るのか、という点については、あくまで私個人の見解ですが、
女性に対し「家で家事や介護をこなす役割」を求める価値観が、親世代・子世代問わず根付いてきたからではないか、と推察します。
実態把握
さて、ここからはヤングケアラーの実態についても詳しく見ていきます。
しかしWikipediaやニュースサイトにも載ってたりしますが、ヤングケアラーの実態はいくつかの要員によって把握しづらいものとなっています。
まず外部からの把握がいささか難しい点。
より把握しやすい立場にあるのはやはりヤングケアラー本人が通っている学校等、つまりは教育機関です。
しかし学校サイドは個人情報について、子どもからの意思表示や明らかに休みの日数が増える等がなければ、
能動的に踏み込むことが難しいと判断されるケースが多いようです。
虐待やネグレクトが併発している場合もあり、
もちろん対策として教育の専門職の方が目を見張らせておく、ということは決して効果がないことではないのですが、
「ヤングケアラー」を意識した聞き取りを行わない限り、
実態の正確な把握は難しい印象を受けます。
一方でヤングケアラー本人にとっても、
家事や介護の話を周囲に打ち明けづらい、ということは要因としてあるかと思います。
友達との会話の中で家事や介護の話で共感を得る機会は多くはないでしょうし、
幼い頃からヤングケアラーとして過ごしていたりなどで「親の家事・介護をして当たり前」という認識を持ち、
「周りに相談するほどのことでもない」との判断を自ら下すケースも多いようです。
これらの要因から、結果としてヤングケアラーの実態が把握しづらくなり、
問題が表面化しにくくなっています。
割合
厚生労働省が2020年12月〜2021年1月におよそ1万3000人を対象に実施した全国調査では、
ヤングケアラーの割合は
中学生:5.7%(約17人に1人)
全日制の高校の生徒:4.1%(約24人に1人)
定時制高校:8.5%(約12人に1人)
通信制高校:11%(約9人に1人)
という結果となりました。
また平日1日の平均ケア時間は、中学生が4時間、高校生は3.8時間という結果となりました。
NHK NEWS WEB【 https://www.google.co.jp/amp/s/www3.nhk.or.jp/news/html/20210412/amp/k10012969771000.html 】より太字部分を引用
割合を見て、私の個人的な見解としてはかなり多いなと感じました。
「問題としている人数が多いから優先的に対応すべき」というわけではありませんが、
単純計算で1クラスに2人前後は「ヤングケアラー」が存在することになります。
平均ケア時間を見てもかなり長い印象を受けました。
平均にして、4時間前後家事や介護をこなしているわけですね。
この結果、家族のケアに時間や労力を割くために学業に遅れが生じたり、
友達と遊ぶ機会が失われたり、
そもそも満足に通学が出来ないなどで、
進学・就職にも影響が及ぶケースも確認されています。
さてここから個人的な見解。
ケアをすることが悪いことではありません。
家族のために動いていることは素晴らしいことですし、きっとそういった行動に感謝している家族も多いと思います。
ただ、「ヤングケアラー」がこなしているケアの多くは義務的に行わざるを得ない上、
ひとつひとつの負担が小さくないもの、それも毎日こなさなければならないものが多くを占めています。
そしてヤングケアラーの子どもたちは「家族のためにそれらをやることが当たり前」と思って、
他の「勉強」や「遊ぶ」といった選択肢がいつのまにかなくなりながら、
介護・家事をこなし続けていくわけですね。
何度も言いますが、ケアを行うことが悪いことではありません。
「本来子どもが当たり前に使えるはずの時間や体力を、継続的に大幅に介護等に割かざるを得ないという状況が、むしろ当たり前になっている環境」、
義務の圧力・労力、ケア以外の選択肢の消滅、そしてそれが当たり前になっている状況こそが、
問題に大きく関わる部分ではないかなと。
そしてこれらは間違いなく、否応なく子どもの生活に影響を与えているわけで。
ほとんどのケースでは、大人の手を借りれるに越したことはないはずです。
しかしこれは子どもにはどうしようもない問題であることは明らかであり、
かといって学校サイドも、上述した理由から中々踏み込んだ対策も取りづらいかと思います。
法制度の整備等も叫ばれていますが、果たして。
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