みなさんこんにちはこんばんは。
今回は「一ノ瀬家の大罪」についての記事となります。
画像引用を用いず、漫画の情景やキャラクターのセリフだけで説明することもせず、
自分の言葉と考えでストーリーの考察と感想を表現した記事作りを心がけています。
万が一、権利上気になるところがある、と権利者様からのご指摘がありましたら速やかに誠意を持って対応をさせていただきます。
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せっかく面白い作品ですから、みんなも“買って”読みましょう(重要)
前置き
「タコピーの原罪」をとても楽しんで読んでいたため、
その後連載が始まった「一ノ瀬家の大罪」も読み始める。
現時点でのストーリーの個人的な解釈と、
現時点で残されている謎について網羅していきたい。
個人的なストーリーの解釈
物語開始より四年前のある日、
一ノ瀬家はドライブの最中に事故に見舞われる。
事故により、主人公の翼は昏睡状態に陥る。
なお、この事故は
「父親の翔や母親の美奈子によって強制された一家心中の疑いがある」
と私は予想しています。
事故後、一ノ瀬家には様々な変化が訪れる。
祖父の耕三は病気が大幅に進行し寝たきりになる。
祖母の幸恵は耕三のことにかかりきりになって、家庭のことは二の次になる。
父親の翔は稼ぎが少なく優柔不断であり、
家事と介護に奔走する美奈子は、そんな翔に不満を溜めている。
妹の詩織はそんな家庭に対し「みんな自分のことばかりで、誰も助けてくれない」と不信感を募らせる。
タコピーの原罪でも見られた家庭の問題が本作の大きなテーマの一つ。
胸が締めつけられるリアルな描写も見どころの一つです。
事故の前には一ノ瀬家にはもう一人、翼の兄である颯太という人物が居たが、
この人物は自分の夢であるカメラマンを家族の誰にも支持されておらず、
また家族によって(故意かはともかく)カメラ自体が破損してしまう出来事が起こってしまう。
家族のあり方に絶望した颯太は家を出て、自身と同じ身寄りのない女性と子供と共に暮らすようになる。
颯太に関しては、色々な描写から個人的に「夢の中にいる颯太」と「現実の颯太」は別なのではと考えています。
詳しくは後述。
一方、昏睡状態に陥った翼は、まるで現実かのような夢を見るようになる。
現実とほぼ同じ家族関係のもと、しかし現実のようなギスギスとした空気はあまり流れない、
新たな家族関係を再構築する夢を見る翼たち。
それは、事故のあと颯太を除く家族全員が記憶喪失となり、
元のギスギスを忘れた家族同士が一から家族関係を構築し、そしてそのキーマンに翼がなる、という夢である。
なお、ここでは分かりやすく「夢」と表現しますが、
物語途中まで登場人物たちは夢の世界を「現実」だと認識していたと考えられます。
夢の中でも、
現実で起こっていた家族間の問題や、
翼が学校で直面していたイジメ問題などは発生した。
特にイジメに関しては現実よりもさらに派手で大規模な内容であった。
さまざまな問題に直面し、翼は時に打ちひしがれたり、時に気づかないふりをしたり、時になんとか希望を見出そうとする。
のちに翼は、自分がこのような《問題に立ち向かっていく》夢を見た理由を「現実では無力な自分が、夢ではヒーローになれるから」と考察しています。
ただし夢の中で描かれている円満な家庭は、
翼に限らず兄の颯太や父の翔も作り上げたかったものであり、
個人的には翼以外の人物が夢の世界を構築している可能性もある、と考えています。
翼は家族間の問題に立ち向かう中で、次第に「家族みんなで笑ってるだけでよかった だからもういいんだ 夢から目覚めなくて」と考えるようになる。
…が、その直後なぜか昏睡状態から目覚めることになるのであった。事故から4年が経過しての意識回復であった。
なぜ昏睡状態から目覚めたか、その理由は「颯太を認識したかどうか、颯太と向き合ったかどうか」であると個人的に考えています。
詳しくは後述。
昏睡状態から目覚めた翼は、自分が目覚めたことに驚きながらも、現実に順応しようとする。
…が、突如明るくなった父親と母親や、それを訝しんでいる妹、不安定な状態の祖父と祖母たちとの関わりを目の当たりにし、戸惑う翼。
さらに
・目覚めたのに、まだ夢を見る
・たびたび意識を失う
・夢に関して詮索してはいけない脅しの手紙が届く
・夢の中で途中から父親を演じていた「颯太」という兄がいたことを思い出す
といった事態を受け、不安を募らせる翼。
さらに元々フラストレーションが溜まっていた家族の間で意見と感情が衝突。翼は一ノ瀬家を出ることとなる。
この辺りは非常に謎が多く、考察のしがいがある部分です。
個人的に、
意識を失う原因は母親の美奈子、
意識を失った翼の移動係は父親の翔、
脅しの手紙は祖母の幸恵によるものではないか、と考えています。
そんな折、とあるきっかけで失踪していた颯太を発見した翼は、颯太とその同居人達と共に暮らし始める。
だがその暮らしも長くは続かず、颯太を諭しながら一ノ瀬家に帰ることに。
しかし二人で帰った一ノ瀬家はなんと…?
衝撃の展開。
一体何が起こっているのか、「考察が難しかった」というのが素直なところです。
みなさんはどのように受け止められましたか。
「夢の中にいる颯太」と「現実の颯太」は別?
ちなみに作中最も多くの謎を抱える兄の颯太だが、現実の颯太は“夢の世界に居たことを示すセリフ”を一言も発していない。
つまり、実際は夢にログインしておらず、夢の中の颯太は現実の颯太とは無関係の可能性がある、というのが私の考えである。
現実で颯太が「夢」という単語を用いたセリフは下記程度。
「家族よりずっと理解し合えるんじゃないかって。夢の家族にこだわるよりよっぽど…」
「翼 あの夢のことだけど…(ここで翼の台詞に遮られる)」
一見夢の世界について触れたセリフが並んでいるように見えて、実はどれも曖昧な内容。
夢の世界を全く認識していなかった可能性すらあります。
実際は夢の世界にログインしておらず、「翼 あの夢のことだけど… よくよく思い返してみたけど、オレはそんな夢を見た記憶がないんだ」という言葉が続く可能性がある。
「夢の家族」というセリフも、夢の中の家族ではなく、理想という意味での「夢の家族」の可能性がある。
では夢の世界に存在する颯太は一体何者なのかというと、
翼か他の黒幕が作り上げた「NPC的存在」という可能性がある。
後述する父親の翔のように、本人そのものな見た目や話し方はしているが、実際はNPCというパターンである。
夢の中の颯太は、颯太本人が操っているとは限らず、
翼が無意識に、または黒幕が意識的に颯太を生み出して操っている可能性もある…
と個人的に考えています。
あるいは、有力なのは颯太の無意識か。
もちろん颯太本人が意識的に夢の世界に干渉している可能性は高い。
ではここからは具体的に、各話ごとに生まれる謎に、解釈を添えながら追っていく。
各話ごとの謎と考察
1話《作中におけるループ一周目》
Q.物語冒頭、妹(詩織)らしきキャラから「お兄ちゃん」と連呼される夢を見る翼。その理由は?
昏睡中の翼に、詩織が声をかけ続けていたため、これが理由だと思われる。
なお、この時の声かけは夢の中の詩織によるものなのか、それとも現実でお見舞いに来ていた詩織によるものなのかは不明。
物語終盤に、昏睡している翼に対し詩織が声をかけ続ける伏線回収があるのではないか、
と密かに予想しています。
Q.事故で全員が記憶喪失となったのはなぜ?
事故で4年間昏睡状態となっている翼の夢の中で起きた事故だったから。
家族が全員無傷だったのも全員同時に記憶喪失だったのも、夢の中の都合のいい設定。
颯太曰く「一家全員記憶喪失なんてあり得るわけないだろ」。
翼が「一家記憶喪失」という都合のいい設定の夢を見ていた理由については、
現実では役立たずだった自分が、
夢の中では家族を再構築したり、
現実では陰湿ないじめから親友の中嶋と関係を回復したりと、
色々と活躍するヒーローになるため、と考察している。
しかし先述した通り、
「翼が夢の世界を構築した」という確定的な証拠はなく、
兄の颯太や父の翔など、他の人物が円満な家庭を構築するために夢の世界をコントロールしていた可能性も考えられます。
Q.病院から家に帰ると、家の中は掃除・整理がされていない理由
お互いを見ない家族、使われないリビングなど、元々は荒んだ家庭であった現実の名残りであると思われる。
Q.家族は全室鍵付きの個室なのはなぜ?
具体的な理由は明かされていない。
家族間の仲が険悪だったことが理由としてまず考えられる。
ただし、翼が祖父の耕三の部屋に入ろうとすると、祖母がそれを阻止しようとする場面があったりと、
他にも色々な理由があるものと思われる。
Q.翼の部屋は「死」という文字が壁に書き殴られているのはなぜ?
学校でいじめに遭った翼が壁に書き足す場面があり、心に傷を負うたびに壁を「死」で覆っていったものと考えられる。
Q.翼の部屋に置いてあった家族写真の顔の部分が黒く塗りつぶされているのはなぜ?
お互いを見ない家族、使われないリビングなど、荒んだ家庭となった時代の名残りであると考えられる。
過去の翼が、急に暗くなった理由とも関連があるかもしれない。
個人的には、カメラの夢が絶たれた颯太がやったのかなと思った時期もありました。なにせ家族「写真」なので。
2話《作中におけるループ一周目》
Q.翼が、中嶋を主導としたいじめに遭っていた理由は?
突然サッカー部をやめ、親友の中嶋を「気持ち悪い」と吐き捨てるようになるなど、暗く変化した翼。
それに対し、周囲が「暗い」「あいつがいると空気が悪くなる」と敬遠するようになる場面が確認されており、そこからイジメに発展したものと思われる。
3話《作中におけるループ一周目》
Q.過去の翼が暗くなった理由は?
現時点では詳細に明かされていない。
家族間でのギスギスの蓄積や、颯太に関する色々なトラブルなども関係あるのかもしれない。
「なにか決定的な出来事があって、それを境に暗くなったのかな…
漫画的にはそれが映えそうだな…」というメタ的な予想をしていますが、
実際は家庭のギスギスによりじわじわと暗くなっていったパターンがリアルなのでありそうです。
7話《作中におけるループ一周目》
Q.詩織は放課後、穴水秀太という社会人とデートをしているが、一体なぜ?
記憶を失う前の詩織は、SNSで知り合った年上の男性と頻繁に連絡を取っていたらしく、その名残で穴水とデートをしていた。
なお、夢の中での穴水は詩織が未成年だったことを知らなかった。
現実でも穴水秀太という人物と詩織は面識があるらしいが、
なぜ穴水のことを知らない昏睡中の翼がそのことを知り得て、夢に反映されたのかは不明。
詩織が昏睡中の翼へのお見舞いの際に独り言として漏らしていて、それを翼が無意識に聞いていたのか、
あるいは
詩織も同じ夢を見ているので、自分の知り合いを無意識に登場させたのか。
9話《作中におけるループ一周目》
Q.翼の部屋のカメラが起動しなかった理由は?
翼の兄である颯太がカメラの持ち主。
家族がきっかけで破損したために、カメラが起動しなかったものと思われる。
なお、夢の中で颯太はそのことを翼に思い出させないようにしているような描写が見られる。
Q.詩織視点で、翼が一瞬「家族は笑顔じゃないと」と冷酷なキャラ変したように見えた理由
現時点では詳細に明かされていない。
しかし、今見ている現実が実は夢の世界であることに翼自身も無意識に気づいているため、
翼の本音と本性が出た可能性がある。
10話《作中におけるループ一周目》
Q.父親の翔によって、家族旅行のドライブ中に家族全員眠らされ、事故が引き起こされたが一体なぜ?
父親の翔が一家心中を図ったものと思われる。
奇しくも現実で起きた事故と同じような形であり、
現実の方の事故も翔が関わっているものと私は考えています。
これをきっかけに、2回目の一家記憶喪失ループに突入する。
この際、父親の翔は家から消え、颯太が代わりに父親を演じるようになっている。
11話《作中におけるループ二周目》
Q.兄の颯太が、新しいスマホを家族全員分用意し古いスマホを廃棄させたり、翼に対するいじめを未然に予防した理由は?
兄の颯太が憧れる、平和な家族の形を保ちたかったからだと思われる。
ただし、そもそもループ二周目から颯太がなぜ夢の中に干渉できるようになったかは不明。
先述した通り、颯太はただのNPCの可能性もあるため、
実際は颯太というモデルを利用して夢の世界をコントロールしたい黒幕の意思、もしくは翼の無意識かもしれません。
Q.父親の翔がハンバーガーショップで働いている理由
父親の翔が、2年前にリストラされた後から勤務している店。
ちなみに夢の中の一ノ瀬家にスーツ姿で帰宅している描写もあったが、ハンバーガーショップのアルバイトという状況と矛盾が生じることになる。
個人的には、スーツ姿でバイト先を往復することで、
会社勤めをカモフラージュしているのでは、と予想しています。
理由としては、一ノ瀬家の面々に経済的な不安を与えないためですね。
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