「岸部露伴 ルーヴルへ行く」感想
怪奇
私はホラーやミステリーが大好きなので、「この世で最も黒い色」という導入だけで特にワクワクしてしまう。
怪奇描写は“ジョジョ”が得意とするところである。読んでて楽しい。
ジョジョの魅力は、キャラクターや能力バトルはもちろんだが、随所に挟まれる不気味な演出もその一つなので、非常にワクワクしながら読むことができた。
にしても岸部露伴先生の「初恋」が明確に描写されたのは面白い点だった。初恋あったんやなぁ…
物語序盤、確かに初恋感が伝わってくる。
奈々瀬の色っぽさや露伴の少し初々しい感じも新鮮だった。
仗助の顔が映らない
なお、仗助の顔やセリフが一切登場しない。
これはこの物語が露伴視点であり、
「露伴は仗助を毛嫌いしているから描写の尺を割かれない」…ということだろうか。
あるいはこの作品自体が“露伴が描いた漫画”ということかもしれない。
一応後ろ姿は描写されているため、「キミのそのおかしな頭くらいは描いてあげてもいいよ」的な露伴らしさの表れ…なのかもしれない。
嫌いではあるが、情けくらいはかけてやろう…という具合だ。
先祖の罪に襲われる
血縁関係にある者の「罪」「死に方」を再現するかのような攻撃…人の心の中にそのダメージを再現するというギミック。
先祖の犯した罪や、自分の中の後悔が心の中に波濤のように押し寄せる。
「その行為を罪だと思わない」人間が絵を見た場合、どうなるのか気になるところである。
例えば、誰かを攻撃したり陥れたりするような行為を罪とは認識していない人間がこの絵の前に現れた場合、攻撃されることはないのだろうか。
そんな人間はそうそう居なそうだが、それでも一定数は存在するはず。
果たして罪かどうかジャッジするのは…
“黒い絵”の怨念が罪かどうかを判断するのだろうか、
それとも絵を見た人間の価値観に基づいて罪かどうか判断されるのだろうか。
「人を殴るのは罪とは思っていないけど、蹴るのは罪だと思っている人間」が絵を見た場合、
殴られることはないものの蹴られまくるのかもしれない。
そもそも、記憶をリセットすれば襲われることもなくなるため、
記憶喪失した人間や、赤ん坊が見たら案外襲われずに絵画鑑賞ができる可能性もある。
ヘブンズドアー、万能
最後、「ヘブンズ・ドアー」によって記憶を一旦全消ししてから、それを復元する流れが綺麗だった。
このスタンド能力ならでは、「ヘブンズ・ドアー」の汎用性の高さが出た場面である。欲しい。
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