病態
溺水では気道閉塞や水の誤嚥によって低酸素血症が進み、脳を含む全身の組織が酸素不足に陥る。肺ではサーファクタント障害や非心原性肺水腫、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)が生じることがあり、重症度を左右する中心的な問題は低酸素である。[2]
症状
臨床像は咳、息苦しさ、呼吸障害、意識変容から心停止まで幅がある。溺水は短時間かつ静かに起こることが多く、激しくもがくとは限らない。[1][2]
初期対応
救助では救助者自身の安全を確保したうえで速やかに水中から救出し、気道・呼吸・循環を評価する。溺水では低酸素が主要な問題であるため、呼吸がない場合は救命処置において換気・酸素化が特に重要となる。水中での人工呼吸は、訓練を受けた救助者が安全に実施できる場合に限られる。[2]
医療機関での評価
診断は主に浸水・没水の経過と臨床所見に基づく。症状がなく酸素化が正常な人では検査が必須とは限らない一方、低酸素や進行する呼吸症状、意識障害がある場合には状態に応じて胸部画像、血液ガス、血糖、代謝検査などが検討される。[2]
合併症と経過
重症例では低酸素性脳障害、ARDS、肺炎、不整脈、心機能低下、多臓器障害などが起こり得る。予後には浸水時間、低酸素の持続時間、蘇生開始までの時間、併存疾患などが関係する。[2]
予防
プール周囲の柵、子どもの継続的な監視、ボート利用時の救命胴衣、飲酒・鎮静薬使用時に泳がないこと、心肺蘇生法を学ぶことなどが予防策として挙げられる。[1][2]