複雑性PTSD(CPTSD)

最終更新:2026年8月15日

複雑性PTSD(CPTSD)は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の主要症状に加え、感情調整、自己評価、人間関係に持続的な困難がみられる状態である。ICD-11ではPTSDとは別の診断として扱われるが、DSM-5では独立したCPTSD診断は設けられていない。[1][2]

PTSDとの関係

ICD-11のCPTSDでは、PTSDにみられる出来事の再体験、トラウマを思い出させるものの回避、現在の脅威を強く感じる症状に加え、「自己組織化の障害」と呼ばれる症状が必要となる。DSM-5では、CPTSDに関連すると考えられてきた症状の一部をPTSDの症状範囲に含めており、独立した診断名としては扱っていない。[1][2]

自己組織化の障害

ICD-11で追加される主な領域は、感情を調整することの著しい困難、自分を無価値・敗北した存在と感じるなどの否定的な自己概念、親密な関係を保つことの著しい困難である。解離がみられることもあるが、ICD-11のCPTSDで必須の要素ではない。[1][2]

トラウマとの関係

長期にわたる反復的な対人トラウマ、とくに幼少期の虐待などはCPTSDと関連しやすいが、現在のICD-11診断では特定の種類のトラウマを経験していること自体は必須条件ではない。単回のトラウマ後にCPTSDの特徴が生じることも、長期的なトラウマ後にPTSDのみが生じることもある。[1][2]

エビデンス・科学的評価

米国の成人を対象にICD-11の定義を用いた研究では、現在のPTSDが約3.4%、CPTSDが約3.8%と報告されている。治療についてVAは、PTSDに有効なトラウマ焦点化治療はCPTSDにも有効であり、まず検討できる治療としている。一方、段階的治療がトラウマ焦点化治療単独より優れるかは、まだ明確ではない。[1][2]

安全性・注意点

CPTSDは比較的新しい診断概念で、DSMとICDで扱いが異なるため、自己判断だけで診断名を決めることは適切ではない。VAは、身体志向の治療やトラウマ・インフォームド・ヨガなどがCPTSDに特に有効だと断定できる根拠は現時点では不足しているとしている。[1]

参考文献・参考情報

  1. U.S. Department of Veterans Affairs: Complex PTSD ↩本文
  2. U.S. Department of Veterans Affairs: Complex PTSD: History and Definitions ↩本文

カテゴリ:メンタルヘルス / 症状・疾患 / 精神・心理

タグ:CPTSD / トラウマ / 複雑性PTSD

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