基本的な考え方
診断検査の結果は、患者の真の状態を必ずしもそのまま表すものではない。疾患があるのに陰性となる偽陰性や、疾患がないのに陽性となる偽陽性が起こり得るため、検査の性能を定量的に評価する必要がある。[1]
主な精度指標
感度は、疾患がある人で検査が陽性となる確率であり、真陽性率とも呼ばれる。特異度は、疾患がない人で検査が陰性となる確率であり、真陰性率とも呼ばれる。偽陽性率は1から特異度を引いた値である。[1]
尤度比は、検査結果によって疾患の確率がどの程度変化するかを表す指標である。陽性尤度比が1より大きい結果は疾患の確率を高め、陰性尤度比が0から1の間にある結果は疾患の確率を下げる。[1]
研究デザイン
典型的な診断精度研究では、一連の対象者に評価対象の検査(index test)と、患者の真の状態を示す基準とみなす検査(gold-standard test)を実施し、両者の結果を比較する。感度や偽陽性率などは、この比較から求められる。[1]
研究で注意するバイアス
研究対象が実際に検査を使う患者集団と異なると、得られた精度が臨床にそのまま当てはまらないことがある。重症例だけを多く含めれば真陽性率が高く見える可能性があり、正常な対照者を多く含めれば偽陽性率が低く見える可能性がある。[1]
評価対象の検査結果を理由に基準検査へ紹介することによるworkup bias、基準検査の結果を知ったうえで評価対象検査を判定するtest-review bias、逆に評価対象検査の結果を知ったうえで基準検査を判定するdiagnosis-review biasにも注意が必要である。観察者間の判定不一致や、基準検査そのものが真の状態を完全には示さない問題も精度評価に影響する。[1]
検査前確率と検査後確率
検査結果の意味は、検査前にどの程度その疾患が疑われていたかによって変わる。検査後確率は、検査前確率と感度・特異度などの検査性能を用いてベイズの定理により更新できるため、同じ陽性・陰性結果でも検査前確率が異なれば解釈は異なる。[1]
ROC曲線
連続値の検査では、どこを陽性とするかというカットオフ値によって真陽性率と偽陽性率が変化する。この関係はROC曲線で表すことができ、感度を高めようとすると偽陽性も増えやすいというトレードオフを確認できる。[1]