定義
最小臨床的重要差は、あるアウトカムについて「重要である」と判断される最小の値である。医療の文脈では「臨床的」という語が付けられ、minimum clinically important difference(MCID)という表現がよく用いられる。なお、minimumとminimal、differenceとchangeなど、用語には複数の表記がある。[1]
関連概念との違い
MCIDは、測定誤差を超えて検出できる最小の差を表す「最小臨床的検出可能差」とは異なる。後者は、観察値の測定誤差より大きいことを基準とする概念であり、その差が患者や臨床にとって重要であることを直接示すものではない。[1]
また、あらかじめ定めた第I種過誤の水準で統計的に検出できると期待される最小の差である「最小統計的検出可能差」とも区別される。統計的に検出可能であることと、臨床的に重要であることは同じ意味ではない。[1]
臨床試験での位置づけ
ランダム化試験のサンプルサイズ計算では、介入群間で検出したい差を「target difference」として設定する。この目標差は重要で現実的な差である場合もあれば、そうでない場合もあるため、MCIDと目標差は自動的に同一ではない。[1]
統計的検出との関係
統計的検出力は、前提とした条件のもとで実在する差を統計的に検出できる確率を指す。第I種過誤は差がないのに差があると結論する確率、第II種過誤は実際に差があるのに帰無仮説を棄却できない確率である。MCIDはこうした統計的誤差率そのものではなく、差の「重要性」に関する概念である。[1]