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前庭誘発筋電位(VEMP)

2026年8月20日 15:31 / 雨崎ハーリィ に保存された版

前庭誘発筋電位(VEMP)は、強い音刺激などで誘発される筋電位を記録し、主に球形嚢と下前庭神経の機能を評価する前庭機能検査である。[1]

仕組み

音刺激により球形嚢を起点とする前庭反射が誘発され、その信号が下前庭神経を介して中枢へ伝わり、胸鎖乳突筋などに生じる電気的反応を表面電極で記録する。代表的な反応はp13-n23と呼ばれる二相性波形である。[1]

検査方法

一般的な頸部VEMPでは、クリック音やトーンバーストを与えながら胸鎖乳突筋を収縮させ、筋上の電極で波形を記録する。刺激の種類、周波数、筋収縮の程度は波形の振幅や潜時に影響する。[1]

利用

メニエール病、上半規管裂隙症候群、前庭神経炎、前庭神経鞘腫などで補助検査として研究・利用されている。VEMPは主に球形嚢と下前庭神経をみる検査であり、前庭系全体を単独で評価する検査ではない。[1]

測定条件の影響

頸部VEMPの振幅は胸鎖乳突筋の収縮の強さに影響されるため、左右差や経時変化を評価する際には筋収縮をできるだけ一定に保つことが重要となる。筋電図によるモニタリングや視覚的フィードバックを用いて収縮を標準化する方法がある。[1]

中耳の影響

音刺激が中耳を通って内耳へ伝わるため、中耳の伝音障害があるとVEMP反応が弱くなったり得られなくなったりする。結果は前庭機能だけでなく、刺激が十分に伝達されたかも含めて解釈する必要がある。[1]

エビデンス・科学的評価

VEMPは、従来の温度刺激検査などでは直接評価しにくかった球形嚢と下前庭神経の機能を評価できる補助検査として臨床的意義が示されている。[1]

安全性・注意点

VEMPの結果は音刺激条件、伝音系の状態、胸鎖乳突筋の収縮量などに大きく影響される。国際的な標準化や筋収縮の管理が十分でない点もあり、単独で診断を確定せず他の前庭・聴覚検査と合わせて解釈する必要がある。[1]