声優やストーリーが中々発表されなかったことで、公開前に制作側が批判を受ける部分もあった作品。
私もPVを見た時に「ジャイアンの声優さんに慣れるかな」「そもそもどういうストーリーにするんだろう」という一抹の不安もあった。
とんでもない。
PVのセリフが一番ジャイアンに近い声で、作中のほとんどがジャイアンではなく花道だった。
原作と映画
個人的に1番の懸念点は、「スラムダンクを全く知らない人がどの程度楽しめるか」という点。
試合が進むごとに選手達の背景が明かされていくが、それで十分なのかはちょっとわからない。
本当は山王戦前夜から、前半の“意外と健闘できてる、これはいけるかも”という流れも含めて全て映像化して欲しいくらいである。
…が!
そんなことを言い出したらキリがない。
全てを映画に反映させることなど到底出来るわけもなく、
そしてどこかの場面が漏れた時点で、作品自体は原作の劣化であると判断されてしまう可能性が高い。
それならば、とキャラの新規掘り下げを行い、映画は映画としての価値を見出そうとしたのは英断だと思った。
初見も原作ファンも楽しめるよう、丁寧に作られてある。
「とりあえず映画化しておきました」という出来では決してない。
「完全原作再現」を求めていた人からすると当然気になるところだろうが、
スラムダンクを知らない人にその魅力を感じてもらうための今回の取り組みは決して無駄なチャレンジとは思わない。
何より、ファンもアンチも「ちょっとどんな感じか気になるな」「見た後色々語りたい」と思わせるパワーがこの作品にはある。
スラムダンクファンも、スラムダンク未見の方も、
ぜひ見に行くことをおすすめする。
ちなみに私の好きなキャラは神さんである。
いつか海南戦が何かのメディアで描かれることになれば、活躍を期待する。
おまけ
私は現在二十代だが、10年ほど前、学生時代の物凄くしんどかった時期にこの作品に出会った。
原作とアニメ、どちらを先に手をつけたかは記憶にないが、
ほぼ同時期に両方を見終えた。
当初は「(最初の方の巻は)昔の絵柄だなぁ」と無意識に見くびってしまっている部分もあったかもしれない。
しかしそんなことを弾き飛ばすほど、読み進めるごとに
「面白い、熱い」と感じた作品。
スラムダンクに出会ってからは、私が一番好きな作品は“スラムダンク”固定となった。それは今も変わらない。
何度も何度も読み返した。
山王戦だけでも好きなシーンは数えきれない。
上述した「返せ…」の場面も好きだし、
「栄光時代」のくだりも好きだし、
三井が3Pの決まる音で蘇るくだりも、
映画化はされなかったが試合展開に合わせて天候が変わったり、
丸男に“素人”特有の弱点を共感し、成長した花道が「サヨナラ、丸男」と置き去りにする一連のくだり、
「ワルモノ見参!」のくだり、
いや、もはや試合が始まる前の山王戦前夜の空気感から楽しむポイントが多すぎる。
あげ出したらキリがない。
また追加するかもしれないが、ひとまずここで記事を締めることにする。
おすすめです。
コメント