治療環境と定義
高気圧酸素療法では、周囲の大気圧より高い圧力に保たれたチャンバー内で100%酸素を使用する。100%酸素を通常の1気圧で吸入することや、身体表面へ酸素を局所的に当てることは、高気圧酸素療法には含まれない。[1]
作用の仕組み
圧力が上がると気体の体積が小さくなるというボイルの法則により、血液や組織内の気泡を縮小させる方向に働く。また、気体の分圧が上がると液体に溶ける量が増えるというヘンリーの法則により、血漿中へ溶け込む酸素量が増加する。[1]
高い圧力下で100%酸素を吸入すると、不要な気体を体外へ排出しやすい圧力勾配が生じ、酸素の乏しい組織へ酸素が拡散しやすくなる。これらの作用は、減圧症や動脈ガス塞栓、一部の虚血性病態で利用される。[1]
主な利用対象
高気圧酸素療法が用いられる対象には、減圧症、空気・ガス塞栓、一酸化炭素中毒、ガス壊疽、壊死性筋膜炎、難治性骨髄炎、遅発性放射線障害や放射線性骨壊死、選択された創傷や熱傷などがある。適応となる病態と治療目的はそれぞれ異なり、疾患に応じた専門的な判断が必要である。[1]