概要
ストレスは、内的または外的なストレッサーによって恒常性が脅かされた状態であり、身体は神経内分泌系、自律神経系、細胞・分子機構を介して適応反応を形成する。HPA軸は自律神経系とともに、このストレスシステムの主要構成要素である。[1]
HPA軸の構成
HPA軸では、視床下部の室傍核から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)とアルギニン・バソプレシン(AVP)が分泌される。CRHは下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)分泌の主要な調節因子であり、AVPはCRHの作用を増強する。ACTHは副腎皮質に作用し、コルチゾールなどのグルココルチコイド分泌を調節する。[1][2]
グルココルチコイドはHPA軸の最終的なホルモン効果因子であり、視床下部や下垂体などに負のフィードバックをかけることで、ストレス反応の持続時間を制限する。[1]
日内変動
非ストレス時のHPA軸には概日リズムと脈動性があり、CRH、AVP、ACTH、コルチゾールの分泌は時間帯によって変動する。コルチゾール分泌は一般に早朝に高く、夜間に低くなる日内変動を示す。急性ストレス時にはこの通常の分泌パターンが変化し、HPA軸活動が増強される。[1]
ストレス時の生理作用
急性のストレス反応では、覚醒、警戒、注意の増加とともに、エネルギー資源が脳やストレスを受けた組織へ再配分される。糖新生や脂肪分解の増加、心血管・呼吸機能の変化などが生じる一方、消化、生殖、成長などのエネルギー消費を伴う機能は一時的に抑制される。[1]
睡眠との関係
睡眠、とくに徐波睡眠はHPA軸とコルチゾール分泌を抑制する方向に働く。反対に、HPA軸の活性化やグルココルチコイド投与は覚醒や不眠と関連する。慢性不眠では、ACTHとコルチゾールの24時間分泌量が増加した研究結果が報告されている。[2]
慢性ストレスと調節異常
ストレスシステムは、適切な強さと時間で作動した後に収束することが重要である。強いストレスや慢性ストレスに伴ってHPA軸が過剰または不十分に活性化すると、代謝、免疫、生殖、成長、消化管機能など広範な生理機能の調節異常と関連し得る。[1]