概要
アルツハイマー病では、発症が目立たないまま進行し、認知機能と行動の両方に影響が広がる。典型例では新しい情報を覚えにくくなる短期記憶障害が初期に目立ち、その後、問題解決、判断、計画、言語、空間認知などにも障害が及ぶ。[1]
症状と経過
初期には、買い物、金銭管理、調理、運転など複雑な日常活動が難しくなることがある。進行すると、無気力、社会的引きこもり、興奮、妄想、徘徊などの行動・精神症状がみられ、重症になると排泄や食事を含む基本的な生活にも介助が必要となる。[1]
病態
脳では、アミロイドβを含む神経突起斑と、タウ蛋白からなる神経原線維変化が代表的な病理所見となる。これらに神経細胞の減少が伴い、とくに記憶に関係する海馬周辺から変化が広がる。[1]
診断
診断では、本人と家族などから症状の始まり方や進行、日常生活への影響を確認し、認知機能検査、神経学的診察、血液検査などを行う。血液検査では甲状腺機能やビタミンB12など、認知機能低下を起こす別の原因を除外する。MRIなどの画像検査も鑑別に用いられる。[1]
治療
根治療法は確立しておらず、日常診療では症状の軽減と生活機能の維持が中心となる。認知症状にはコリンエステラーゼ阻害薬やメマンチンが用いられ、睡眠、気分、興奮などの問題には非薬物的な環境調整や必要に応じた薬物療法を組み合わせる。[1]