POTS(体位性頻脈症候群)

最終更新:2026年8月20日

POTS(体位性頻脈症候群)は、起立時に過度の心拍数増加と起立不耐症状が生じ、横になると症状が軽くなる慢性の多系統疾患である。顕著な起立性低血圧を伴わないことが診断上の要点である。[1][2]

主な症状

起立時の動悸、ふらつき、震え、全身の脱力、かすみ目疲労などがみられる。頭痛睡眠障害、運動不耐、消化器症状や認知がぼんやりする感覚を伴う場合もあり、就学や就労を含む日常機能が大きく制限されることがある。[1][2]

診断

成人では、起立後10分以内に心拍数が持続的に毎分30回以上増加することが基準の一つである。12〜19歳では毎分40回以上が用いられ、20/10 mmHg以上の血圧低下がなく、起立不耐症状が3か月以上続き、他の原因で説明できないことが求められる。[1][2]

脱水出血貧血、感染、発熱、甲状腺機能亢進症、薬剤の影響、長期臥床なども起立時頻脈を起こし得るため、病歴、身体診察、起立時の心拍数・血圧測定を通じて除外する。[1][2]

対応

治療は症状の軽減、身体機能と生活の質の改善を目的とし、水分・塩分摂取、下半身の圧迫衣、段階的な運動再調整などの非薬物療法と、状態に応じた薬物療法を組み合わせる。根治療法は確立しておらず、治療内容は心拍数、血圧、併存症に応じて調整される。[1][2]

診断基準の目安

POTSでは、立位または起立試験で10分以内に心拍数が持続的に毎分30回以上増加し、12〜19歳では40回以上増加すること、20/10mmHg以上の明らかな起立性低血圧がないこと、立位で悪化し臥位で軽快する症状が頻繁にあり3か月以上続くこと、ほかの頻脈原因で説明できないことなどを組み合わせて評価する。[2]

非薬物療法

管理では身体的カウンターマニューバ、弾性・圧迫衣類、水分摂取の増加、塩分摂取の調整、長時間の暑熱やアルコールなど症状を悪化させる要因の回避、段階的な身体再調整などが基本となる。薬物療法は重症または難治例で補助的に用いられ、POTSに対してFDA承認された薬剤はない。[1]

エビデンス・科学的評価

診断基準は複数の専門学会・作業部会の合意で概ね一致している。一方、治療研究の多くは小規模で、長期的な利益と有害影響に関するデータは限られている。[2]

安全性・注意点

起立時頻脈は脱水、貧血、内分泌疾患、薬剤などでも生じる。これらの原因を除外し、症状と血行動態に応じて治療を個別化する必要がある。[1][2]

参考文献・参考情報

  1. NCBI Bookshelf: Postural Orthostatic Tachycardia Syndrome ↩本文
  2. PubMed Central: Diagnosis and management of postural orthostatic tachycardia syndrome ↩本文

カテゴリ:循環器 / 症状・疾患 / 神経

タグ:POTS / 自律神経 / 起立不耐症

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