走行
下大静脈は通常、第5腰椎付近で左右の総腸骨静脈が合流して形成され、脊柱の右前外側を上行する。横隔膜の腱中心をおおむね第8胸椎付近で通過し、右心房の後下方へ流入する。[2]
主な流入静脈
腎静脈、肝静脈、腰静脈などが下大静脈へ流入する。左副腎静脈や左性腺静脈は一般に左腎静脈へ流入してから下大静脈へ向かう一方、右側では右副腎静脈や右性腺静脈が直接下大静脈へ入る。[2]
呼吸と静脈還流
下大静脈には通常、四肢の静脈にみられるような一方向弁がない。吸気時に横隔膜が収縮して胸腔内圧が低下すると、腹部から胸部へ向かう圧較差が生じ、静脈血が右心系へ戻るのを助ける。[2]
側副循環
上行腰静脈は奇静脈系と連絡しており、下大静脈または上大静脈が閉塞した場合に代替経路となる側副循環の一部を形成する。[2]
解剖学的変異
左側下大静脈、重複下大静脈、肝内下大静脈欠損などの先天的変異がある。多くは無症状だが、手術や血管内治療、画像診断では走行の違いを把握することが重要となる。[2]
血栓との関係
下大静脈血栓症では無症状のこともあるが、腹痛・腰痛、下肢の腫れ、痛み、けいれんなどが現れることがある。治療は症状や原因に応じて抗凝固療法や血管内治療などが検討される。[2]