HRVバイオフィードバックは、心拍変動(HRV)をリアルタイムで確認しながら、ゆっくりした呼吸、とくに個人の共鳴周波数付近の呼吸を練習して心拍の変動を高めるバイオフィードバック法である。呼吸と心拍の連動を利用する心身アプローチの一つである。[1]
概要
HRVバイオフィードバック(HRVB)は、呼吸に伴う心拍の変化を利用し、心拍変動を高めることを目的とする方法である。中心となる考え方は、呼吸性洞性不整脈と圧受容体反射が大きく生じる呼吸ペースに合わせて呼吸を行い、その反応を機器で確認しながら調整することである。[1]
方法
2023年の系統的レビューでは、HRVBの実施法は主に三つに整理されている。個人ごとに事前測定した共鳴周波数で呼吸する方法、機器がリアルタイムで示す最適な呼吸ペースに合わせる方法、全員があらかじめ決められた一定の呼吸ペースで行う方法である。一定ペース法では1分間に約6回の呼吸がよく用いられていた。[1]
実施上の特徴
研究で用いられた実施期間、1回の呼吸時間、通院・研究室での練習と自宅練習の組み合わせには大きなばらつきがある。系統的レビューでは、個別の共鳴周波数を用いる研究では数週間の介入と自宅練習を組み合わせる例が多かった一方、方法の詳細が十分に報告されていない研究も多いことが指摘されている。[1]
測定
心拍間隔の測定には心電図や光電式容積脈波などが用いられる。呼吸ペースや吸気・呼気の比率を実際に守れているかを確認するため、呼吸計などによるモニタリングが推奨されている。[1]
エビデンス・科学的評価
2023年の系統的レビューは143研究を対象とし、HRVBには複数の主要プロトコルがあり、研究間で方法が大きく異なること、また多くの研究で再現に必要な方法情報が不足していることを報告している。[1]
2021年のメタ解析では、成人794人を含む14件の無作為化比較試験を解析し、抑うつ症状に対して中等度の平均効果量(Hedges' g=0.38、95%信頼区間0.16~0.60)が示された。一方、対象疾患や最適なHRVBプロトコルを特定するには追加研究が必要とされている。[2]
安全性・注意点
HRVBは非侵襲的な訓練法として扱われているが、ゆっくりした呼吸の実施では過換気や無呼吸などの不適切な呼吸を把握できるよう、呼吸のモニタリングが推奨されている。[1][2]
測定機器によって精度や特性が異なり、光電式容積脈波は心電図より拍動間隔の検出精度が低くなる場合があるため、測定結果の解釈には方法上の限界を考慮する必要がある。[1]
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