みなさんこんにちはこんばんは雨崎です。
入れ墨客も温泉OKへ
観光庁は2016年3月、入れ墨がある外国人観光客について文書で「入れ墨をしていることのみをもって、入浴を拒否することは適切ではない」とし、
シールで覆う、入浴時間を分ける、貸し切り風呂を案内するなどの対応事例を紹介。
一般社団法人「日本温泉協会」などに通知しました。
元々刺青客の排除は法的根拠に乏しく、公営の温泉施設では刺青のみを理由に入浴拒否は行ってきませんでした。
公衆浴場法でも「伝染性の疾病にかかっている人間」の拒否のみが規定されており、
刺青に関しては入浴拒否義務が定められていません。
しかし公営をのぞいた施設ごとの「刺青客の排除」という自主的な判断が定着し、今日まで続いてきたものと考えられます。
刺青客は風紀を乱す?
法的な根拠は無いにも関わらずなぜ刺青客を拒否する温泉が多く存在するのでしょうか?
それは刺青を入れている人は暴力団関係者の可能性がある、という蓋然性によるものであると考えられます。
そして仮に温泉に刺青客を入れてしまうと風紀を乱す行為をする恐れが比較的高い、と判断されてきたのでしょう。
しかし今度はこの自主的判断に基づく刺青客の入浴を拒絶することは法的に問題はないのか、という点が争点となってきます。
とある公衆浴場を経営する事業者が「入浴マナーに従わない外国人客が多い」ことから外国人の入浴を一律に禁止し、
それに対して拒否された客が「これは違法な人種差別である」と損害賠償請求をした事例があります。
公衆浴場側としては「営業の自由に基づく措置である」などと主張しましたが、
裁判所は
「公衆浴場の公共性に照らすと、事業者は可能な限りの努力をもってマナー違反者を退場させる等の方法を実行すべきであり、
安易にすべての外国人の利用を一律に拒否するのは明らかに合理性を欠く。
外国人一律入浴拒否の方法によってなされた入浴拒否は不合理な差別であって、
社会的に許容しうる限度を超えているものといえるから違法であって不法行為にあたる。」
と判断、損害賠償請求が認容されています。
刺青とは異なる理由での入浴拒否に関する事例でしたが、
この判断過程に基づくと、
今回の政府の判断然り、
刺青を理由に入浴拒否を行うことは合理的措置とは言えない、ということなのでしょう。
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